*ネタバレ注意!
本記事は攻殻機動隊SAC2 個別の11人の登場人物、ストーリーを分かりやすくまとめたものである。
ネタバレはしているが、本作は非常に入り組んでいるので、本記事で予習してから観ても十分楽しめるだろう。
ただし、SAC1は必ず先に観てほしい。
ストーリーは大きく分けて次の3つが同時進行する。
- ウイルスによるテロ事件
バイオウイルスではなく、電脳に侵入するウイルスのこと。
現代でいうコンピュータウイルスと同じ。
「個別の11人」という名前の電脳ウイルスが人知れず散布される。
感染した人は難民支援者を襲撃し、最後は自分が自殺するようにプログラムされている。
作ったのは合田という男。
これに感染した人が次々にテロを起こしていく。
- 難民による武装蜂起
そもそも不満を抱えていた難民が、度重なるテロ事件を機に武装蜂起し、最後には核を手にして日本からの独立を企てる。
当然日本政府はそれを治めようとするが、対立は深まり、最後は全面衝突に入ってしまう。
クゼが深く関わってくる。
- 新日米安保と日本の国防問題
米帝と新たに日米安保を締結するにあたり、総理と官房長官で対立。
高倉官房長官は米帝のポチになることで国家の安泰を模索するが、茅葺総理は独立強調路線を進む。
ここにさらに「人の進化としての革命」や、攻殻シリーズお馴染みの「精神と肉体」という二元論、「アイデンティティ」、「社会と個人」、「媒介者と模倣者」、「AIと自我」、「自己犠牲」、などなどのテーマがあちこちに見え隠れする。
SAC2における重要人物と、彼らの目的。
9課メンバーについてはスルー。
元軍人、全身義体。
難民の指導者。
肉体を捨て、ネットと人の融合を「革命」と称し、それに向かって邁進する。
前半では「個別の11人」ウイルスに感染したが、自力で抜け出した。
内閣情報庁(通称内庁)の戦略影響調査会議代表補佐。
「個別の11人」ウイルスを作った人。
英雄をプロデュースすることが目的。
SAC2の最大の敵。
内閣総理大臣。
諸外国と独立強調路線を打ち出す。
親米帝、国防族議員。
米帝のポチになることで国際情勢を生き延びることができると信じる。
合田の上司だが実は繋がってはいない。
前半では「個別の11人」が重要な要素となるのだが、イマイチ分かりづらい。
その原因は、「個別の11人」が論文であったり、テロリストであったり、ウイルスであったりするからだ。
ではそれらをまとめてみよう。
論文としての「個別の11人」は、パトリック・シルベストルという作家が書いた「初期革命評論集」に掲載されるはずだった幻の11編目のこと。
実はこれは実在しておらず、「個別の11人」というファイルそのものがウイルスとなっている。
「個別の11人」ファイルを電脳にインストールした者は、「個別の11人」ウイルスに感染する。
すると、その者は難民支援者などに対しテロを行い、最後に自殺するようプログラムが発動する。
個別の11人ウイルスが発症した者を「個別の11人」と呼ぶ。
実際に11人しかいないわけでもなく、グループでもない。
第1話で中国大使館を占拠して集団は自分たちを「個別の11人」と称するが、彼らは後に「個別の11人」ウイルスに感染した者達とは無関係だと判明する。
これは意外と簡単。
本作では米帝と日本の関係だけ分かってれば十分。
しかも、それらは現代の日米関係と同じ。
SAC1を観ていればわかるが、首都は福岡、新浜は経済都市。
択捉(エトロフ)も発展している。
東京は核攻撃で崩壊、各地に難民居住区が設けられている。
SACシリーズには「精神と肉体」という隠れた主題がある。
この時代、肉体は義体や電脳技術でいくらでも代替可能。
また、記憶も電子化されコピーや転送が可能。
ゴースト(魂のようなもの)については諸説ある。
SACの敵(?)たち、アオイもクゼも肉体にはそこまで興味がない。
アオイはそもそも全く表に出ず、肉体としての自分の存在を消し続けているし、クゼは肉体を捨ててネットとの融合を目指している。
一方、少佐は一貫して殻(肉体)にゴーストが宿ると信じている。
だから草薙素子という特定の義体を使い続ける(SAC2ではクゼの革命に付き合おうとはしたが)。
神山攻殻は、まず自分が個体として今ここに存在することの意義を再認識することを提案しているように思われる。