本記事は完全ネタバレ解説です。
ご注意ください。
山小屋で調査兵団が襲撃される少し前にヒストリアが皆に過去を語っている。
ウォール・ローゼ北部の小さな牧場。
レイス卿の領地内にあるらしい。
身分は隠していても本来王族なので、土地の広さや安全性は担保されていたのだろう。
裕福だったと考えてよさそう。
名前はアルマ。
元々レイス家の使用人として働いていたらしいが、後に妾として囲われる。
完全にネグレクト。
アルマはヒストリアに話しかけたり抱いたり叱ったりを一度もしていない。
ただしこれはアルマの保身故。
王族であるロッドに接触した人間のうち、”関係ない”とされる者(レイス家の血を引かない者)は憲兵団に殺されることになっている。
化学が発達していないので、その関係ある/ない(王家の血を引いている/いない)はロッドの一言で決まる。
アルマとヒストリアの場合、本来ロッドの血を引くヒストリアは関係ある人間で、アルマは関係ない人間。
とすると、アルマはいずれ殺されることになる。
そこでアルマはロッドに、いざというとき自分はレイス家の血を引いている=関係ある人間だと言ってほしいとねだってき、ロッドもそれを約束していた。
ただそうなるとヒストリアの存在の説明がつかなくなる。
ヒストリアが自分とロッドの子だと知られたら、ロッドと血縁者であるアルマがロッドの子を産んだことになる。
さすがにこの世界でも近親相姦はタブーだろうし、そこから勘ぐられて自分がロッドと関係ない人間であるとバレたら殺される。
だからヒストリアにネグレクトし、母親らしいことを一切せず、周りにもヒストリアが自分とロッドの子供であり、レイス家の血を引いているとバレないよう暮らしてきた。
ヒストリアはアルマに「お母さん」と言って抱きつく。
アルマは驚いてヒストリアを殴り、恐怖に引きつった顔をする。
これは急に抱きつかれたからではなく、「お母さん」と言われたから恐怖した。
そもそも自分が母だとは教えていなかったはずだし、ましてやそれを外で急に言われてしまったら誰が聞きとがめるかわかったもんじゃない。
ヒストリアが自分の子供だと知られると、人々は旦那であるレイス卿の子供だと噂する。
そうなるとヒストリアが関係ある(レイス家の血を引く)子ということがバレ、自動的に自分が関係ない(レイス家の血を引かない)人間ということになる。
ヒストリアが自分を母親と認識していることを知り怯えたアルマはヒストリアの元を去る。
ウォール・マリア陥落数日後、ロッド・レイスが訪れる。
以下、そこに至る経緯と背景。
845年「超大型巨人」と「鎧の巨人」出現。
彼らが現れたことで、ロッドはマーレが「9つの巨人」継承者をパラディ島に送り、「始祖の巨人」を奪還しに来たことを理解した。
エレンの父グリシャも同様。
この時点では「始祖の巨人」はロッドの長女フリーダが継承。
巨人襲来直後、レイス家は礼拝堂地下で祈りを捧げていた。
エレンの父グリシャ・イエーガーはレイス家の秘密、フリーダが「始祖の巨人」を継承していること、そして彼らが礼拝堂地下の洞窟にて巨人継承の儀式を行ってきたことを突き止めていた。
マーレの戦士たちが本格的に壁内に攻めてきたことでグリシャも動き出す。
グリシャは礼拝堂を襲撃。
ロッド以外を惨殺、フリーダを捕食し「始祖の巨人」を継承。
命からがら逃げ延びたロッドは数日後、残る唯一のレイス家の血筋であるヒストリアと妾アルマの保護に向かった。
レイス卿の動きを嗅ぎつけたケニー(憲兵団)がそこに登場。
中央からの指示で動向を見張っていたのだろう。
中央ももちろん巨人襲来の意味を知っている。
またレイス一家惨殺事件も耳にしていたはず。
だからロッドが何らかの動きをすることを予測していた。
幼少期といい今回といい、ヒストリアが「お母さん」と呼ぶと事態が悪化するという皮肉。
本来暖かい言葉を呪いの言葉にする諫山先生の鬼畜ぶり。
「違う、私はこの子の母親ではありません。私とは何の関係もありません」
これは子供を救おうとして言った言葉ではなく、自分が助かるための言葉。
レイス家と”関係ない”方が殺されるので、アルマは(レイス家の血を引くと称している)自分とヒストリアは”関係ない”=自分はレイス家と”関係ある”、だからヒストリアを殺して自分は助けてほしいと言っている。
「この女もその子もあなたとは関係がないと」
ケニーはレイス卿にアルマ、ヒストリアとの関係性を問う。
ここでレイス卿は本来、アルマとの約束通りヒストリアを”関係ない”とし、アルマを”関係ある”と言うはずだった。
しかし土壇場で気が変わり、アルマとヒストリア二人とも”関係ない”とした。
ではなぜロッド・レイスは妾と娘が殺されることが分かっていて”関係ない”と言ったのか。
アルマについてはそもそもどうでもよかった。
一方ヒストリアは可愛らしく成長し、できれば助けてやりたいと思っていた。
しかしながら、自分の血を引いていると憲兵および中央に知られたらどうなるか?
当然将来的に「始祖の巨人」の継承者となり、13年の余命を持って次の継承者に捕食されなければならない。
ロッドは家族をグリシャに惨殺され、もうこの宿命にうんざりしていた。
これからさんざん政治の道具にされ、最後は巨人に喰われて死ぬのであれば、ここで母親と一緒にケニーに殺してもらった方が娘のためなのではないか?
そういう心境だと想像。
ロッドが自分に対しても”関係ない”と答えるのを見て、アルマは驚きと絶望の表情を見せる。
ここは”関係ある”と言うはずなのにそう言わなかったから。
「旦那様、話が違うではありませんか」←つまり、事前にこういう時は”関係ある”と答えると話していたということ。
それを土壇場でロッドが裏切った。
一応は愛し、子供も産んでくれたアルマと、自分の血を引いたヒストリアを簡単に見捨てて動じないロッド。
これまで何度も何度も見てきた光景なのだろう。
真の王たる威厳や冷酷さを感じる。
「お前さえ生まなければ」
これは逆恨み。
そもそもロッドと関係を持ったのは自分の意志だろうし、ヒストリアを生んでいなかったとしても自分がレイス家の血を引いていないことはどこかでバレたはず。
ロッドの気が変わり、ヒストリアを見逃してやってほしいと嘆願。
この嘆願でロッドがヒストリアを事実上”関係ある”人間=レイス家の血を引くと認めたことになる。
憲兵および中央からしても、レイス家の血筋が秘密裏に存在すること、それを密かに監視し、いざというとき利用できることにはメリットがあるので、受け入れる理由はある。
ロッドがヒストリアを抱きしめているのが物語上の現在。
ヒストリアとエレンは憲兵団に拉致された。
全てが始まった場所←礼拝堂地下。
サネスらを拷問していた隠れ家。
場所は不明。
時間はエレンとヒストリアが拉致された後。
サネスは拷問に耐えていたが、仲間のラルフが裏切ったと偽装されたことで吐いた。
そしてネタばらし。
ハンジはニック司祭の復讐を完遂した。
本気で友情を感じていたらしい。
エレンがライナーたちに拉致されたとき、巨大樹の上でユミルとベルトルトが話していた内容。
エレンはこれを思い出して書き留め、ハンジに渡していた。
そこからハンジは、巨人の「継承」を推理した。
推理内容は正解。
そこから推察するに、エレンは王政側の巨人に捕食され、能力を奪われる。
調査兵団はヒストリアの告白で、ロッド・レイスが真の王家であることを知った。
その娘のヒストリアが拉致されたので、ロッドが関係していることは明白。
また、継承可能な巨人であるエレンも拉致したことで、レイス家か政府内の誰かにエレンを喰わせ、エレンの巨人能力を奪おうとしていると考えられる。
現在の調査兵団で中央政府を攻めるのは不可能なので、個人であるロッド・レイスを狙う方が作戦として妥当。
クーデターを画策。
おおっぴらに話しているのは盗聴器がないから。
現在の王家が偽物であり、レイス家が本物の王家だと推察していたが、ハンジの伝言で確認された。
ピクシスは想像もしていなかったよう。
真の王家の末裔であるヒストリアを女王の座につける。
本来ならロッド・レイスだが、彼は現体制側の人間。
ヒストリアを女王にした後は幽閉でもするつもりだろう。
実際は死ぬので関係なくなる。
レイス家ゆかりの礼拝堂について記録されていること。
今後明かされる。
中央憲兵はエルヴィンの出頭を命じる。
エルヴィンは応じる。
口頭でハンジを次の団長に指名。
エルヴィンは死ぬ気らしい。
ディモ・リーブスとリーブス商会のメンバーが殺された。
そもそも彼らは中央憲兵に雇われてエレンとヒストリアを拉致。
しかし調査兵団のおとり作戦によって失敗、リヴァイの勧誘で寝返る。
それに感づいたケニーが殺害したもの。
それを中央憲兵は、
・リーブス商会がエレンとヒストリアを拉致
・それは王政からのエレン引き渡し命令を回避するための調査兵団の狂言
・調査兵団は用済みとなったリーブスを口封じのため殺害
・実行犯の調査兵団員たちは逃亡中
とでっちあげる。
わざわざそれを公の場で言うのは、民衆の調査兵団への不信感を煽るため。
民衆はリーブス商会に恩がある。
調査兵団の行ったとされる(実際は違うが)行為は人類憲章第6条<個々の利益を優先し、人類の存続を脅かした罪>に抵触する。
それを根拠に、中央憲兵は全調査兵の身柄拘束を命令。
エルヴィンは抵抗しない。
リヴァイへの信頼度の高さがうかがえる。
ディモ・リーブスの息子。
ケニーの暗殺から逃れ、逃亡中。
今後も登場するので覚えておこう。
ディモ・リーブスはもともと中央憲兵に命令され、エレンら拉致に動いた。
その後寝返ったことでケニーに殺された。
最終的にまた中央憲兵にその死を利用され、憲兵および政府の役に立てた。
調査兵の拘束命令を聞きつけ、逃亡。
エルヴィンの真意を知っているので、リヴァイたちと合流し、クーデターを待つつもりだろう。
エルヴィンはディモ・リーブスのトロスト区への貢献を讃え、その死を追悼する。
そして彼の無念を晴らすことを約束する。
大人しく憲兵に従ってはいるものの、はらわたは煮えくり返っているよう。
少し前、ピクシス司令との面会時に話した内容。
エルヴィンの父は教師で、王政が教える歴史にある謎や矛盾に気づいていた。
エルヴィンは父から教わった内容を外で誰にでも話した。
するとある日、それを憲兵に尋ねられた。
その日、エルヴィンの父は遠くの街で事故死(もちろん憲兵に殺された)。
ちなみに、殺したのはサネス。
第2話で告白した「下手に利口な教師」がそれ。
こちらがエルヴィンの父拷問シーン。
サネスがまだ怯えているところから、新人だった様子がうかがえる。
隣の拷問官が笑って肩を叩いているところが恐い。
こんな小さなコマにも人物の成長(今では立派な拷問官になったサネスも昔は怯えながら行っていた)を描いているところが凄い。
エルヴィンは自分の無知と軽率さのせいで父を亡くした。
憲兵には私怨がある。
だから成績優秀でも憲兵団を志願せず、調査兵団に入団した。
クーデター計画は父の無念を晴らし、無知だった子供の頃の自分を慰めるためでもある。
憲兵団がでっち上げた調査兵団の民間人殺害はニュースになり、以前からあった壁外調査への不信感も相まって、一気に嫌調査編団の空気が形成。
リヴァイたちは逃亡犯扱い。
街にはいられなくなった。
レイス領を目指す。
そこにエレンとヒストリアがいる可能性が高い。
キャラクター引用サイト:https://shingeki.tv/season2/
©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会
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