リヴァイは「女型の巨人」との戦闘指示は出さず、ひたすら前進する。
この先にエルヴィン団長が新型兵器を用意して待っているから。
作戦の真の目的は巨人の捕獲。
リヴァイが部下にそのことを告げていないのは、白々しい逃げ方をすると感付かれるかもしれないから。
戦闘指示を出さず本気で逃げたら恐らく追ってくると考えたのだろう。
エレンは兵士が次々と「女型の巨人」に殺されていくのを見ていられない。
調査兵団きっての精鋭集団であるリヴァイ班が立ち向かえば、仮に「女型の巨人」を倒せなくても仲間の死は減らせたはず。
しかしリヴァイは戦闘指示は出しておらず、部下たちはそれに従っている。
ここでは2種類の「個と組織」の関係性を描いている。
1、組織にとって優秀な個
命令に従い「女型の巨人」に立ち向かって死んだ兵士も、命令に従い仲間を見殺しにしてひたすら駆けるリヴァイ班の部下たちも等しく組織にとって優秀な個。
そうした個が集まることで大きな目的を達成できる。
2、組織を超越した個
一方で、組織を超越するほどの強大な個が存在したとき、その個は組織とどう折り合いをつけるべきか?
作者はリヴァイの口を借りて答えを述べている。
「俺には分からない、ずっとそうだ、自分の力を信じても、信頼に足る仲間の選択を信じても、結果は誰にも分からなかった」
これはある種のフラグ。後に分かる。
リヴァイもまた組織を超越した力を持つ個。
しかしそんなリヴァイでも組織に従うか個の力を信じるか、どちらが正しいかは分からない。
その上で「悔いなきよう」とまとめている。
リヴァイ班でのエレン護衛作戦を共有している。
リヴァイは班員がエレンに殺される覚悟を持っていることを説き、エレンにも同じ覚悟を持つことを求める。
エレンの巨人化実験では、巨人化するのに自傷行為プラス明確な目的が必要とわかった。
ただ、これは本編にとってもこの回想シーンにとってもどうでもいいこと。
組織にとって優秀な個であるリヴァイ班精鋭たちは組織を超越する個を持つエレンを恐れている。
そして、そのエレンを護衛することのリスクを覚悟して組織に従っている。
それを視聴者に見せるための回想シーン。
エレンは組織を超越する個を持ちながら、組織(仲間)を信じることを選んだ。
リヴァイはエレンの力を信じ、部下はそのリヴァイを信じ、また恐れながらもエレンを信じている。
エレンはそんな組織を信じ、組織に奉仕するという選択をした。
後にこの選択を後悔する。
キャラクター引用サイト:https://shingeki.tv/season1/character/#0
Ⓒ諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会