エルヴィン団長は、「女型の巨人」の中身が兵士であり、立体機動装置を身につけたまま巨人化、その後「無垢の巨人」に食われているどさくさで本体は逃げ出し、立体機動装置で移動していると推理。
かつてエレンでの実験ではそれは不可能だと結論付けたが、調査兵団は巨人の力の練度を想定していなかった。
エレンは巨人化の初心者、「女型の巨人」本体はそれより上級者だと推察される。
よって「女型の巨人」本体が巨人化を解いた直後から動けると考えてもおかしくない。
冷徹に自分たちの非を認め、すぐに修正、そしてより高次元の作戦へと移行しようとするところがエルヴィンの団長たる所以か。
まず、この時点ですでに兵士たちはエルヴィン団長の真の意図を理解している。
ではなぜエルヴィン団長は壁外調査を行えば必ず巨人が追ってくると分かったのか?
先に現れた「鎧の巨人」と「超大型巨人」は、せっかくトロスト区外門を壊したのに内門は攻撃せず、しかもエレンが外門を大岩で封鎖するのも妨害しなかった。
なぜか?
壁の破壊よりも重要なものを見つけた→エレン。
ライナーたちの立場から考えてみよう。
かれらの目的は「始祖の巨人」奪還。
そのための布石として壁を破壊して壁内人類を混乱させる。
そこへ巨人化できる人間としてエレンが現れた。
エレンは間違いなく「9つの巨人」のどれかを継承していると考えられる。
だからエレン巨人化の時点で彼らの目標は壁の破壊からエレン奪還に変わった。
その変化をエルヴィン団長は見逃さなかった。
予想通り「女型の巨人」が再出現し、調査兵団は対応に迫られる。
エルヴィン団長
「最善策ではなく、全てを捨てる覚悟で挑まなくてはならない」
全てを捨てて戦えば「女型の巨人」に勝てるという希望を持っている。やや甘さはあるが、部下はその希望についてくると知っているのだろう。
リヴァイ班員
「エレンを逃して三人で「女型の巨人」を仕留めるのが最善策」
"最善策"に頼るところに甘えがある。
恐らく作者は「最善策=死亡フラグやで」と言いたい。
エレン
仲間を信じるのが正解←甘い。
調査兵団内で最も甘い考え。
ただしこれが直後覆る。
リヴァイ
「自分を信じても仲間を信じても結果は誰にも分からない」
最もリアル。
ただ、これはリアルなことを言っているだけで、これでは何の進展にもならないし、部下もついてき辛い。
「女型の巨人」との一度目の対戦は仲間を信じることで勝利に近いところまでいった。
しかしそれでは敵には勝てないと作者は示す。
「友情・努力・勝利」といったジャンプ的な主題へのアンチテーゼか?
エレンは先輩達の意思を無視し、個人的な感情で巨人化。
自分が負ければ作戦そのものが無駄になるし、監査役の調査兵団にも批判が集まる。
しかし、それでも巨人化して「女型の巨人」と戦うエレンの個の力(エゴ)は、リヴァイのリアリズムを超越し、エルヴィン団長の持つ希望を体現する可能性がある。
作者は個の可能性を試した?
リヴァイは部下達が死んでいる姿を見ても冷ややかな表情。
これはリヴァイにとって「どうなるか分からない結果」の一つでしかない。
だからただ受け入れるだけ。
これはリヴァイの個の強さでもあるのだが、現状打破の力はない。
たぶん本人もそれを分かっているだろう。
自分が仲間を信じたから仲間が殺された→仲間が殺されたのは自分の間違った選択のせい→でも悪いのはお前(「女型の巨人」)。
意味不明な論理だが、エルヴィン団長の「全てを捨てる覚悟」に通ずるものがある。
「女型の巨人」は逃げかけるも、踏みとどまりまたエレンと対峙する。
ここの感情は分かりづらいが、マーレの戦士としての覚悟を再認識したのだろう。
エレンは再度「女型の巨人」と対峙し、目を見開いて驚いたような顔をする。
後に分かる。
「女型の巨人」はエレン本体を捕食し逃走。
ただしまだ飲み込んではいない。
リヴァイ班員たちはわりとあっさり殺されていたが、ミカサは捕まらず、攻撃を成功させている。
つまりリヴァイ班精鋭よりもミカサの方が実力は上ということ。
戦闘に長けたアッカーマンの血。
「女型の巨人」はミカサを殺すことに執着せず逃走。
既にエレンは捕らえたし、アニはミカサの強さを知っているから、下手に戦うとヤバいと思ったのだろう。