アニは捨て子としてマーレで育った。
そのアニを拾って養子にした義父は、アニが立派な戦士となり名誉マーレ人になれるよう格闘術を訓練した。
アニはその後、「女型の巨人」として体力が回復したら壁付近までそのまま向かい、どこかで巨人化を解き、立体機動装置で壁内に戻った。
一番真ん中の壁の東側の都市。
エレンと調査兵団幹部が今日ここを通って王都に召還される。
「マリア、ローゼ、シーナ、三つの女神を人の手で汚すなど断じて許されることではない」
実はここで壁の秘密をさらっとバラしている。
マリア、ローゼ、シーナは初代フリッツ王の娘であり、それぞれの壁は彼女たちにちなんでいる。
また、全ての壁は巨人の硬質化能力でできており、壁=巨人と言って差し支えない。
この壁の中の巨人たちが最後エレンの「進撃の巨人」と共に「地ならし」を行う。
アニは憲兵団所属。
憲兵団はエレン護送の警護を任されているが、上官はめんどくさがり新兵に丸投げ。
駐屯兵団以上に堕落していることが窺える。
アニはマルロの演説に何故か悲しい顔をする。
その理由は、アニはマーレで「エルディア人は悪魔だ」と教育されてきたのに、マルロやエレンのような理想に燃える英雄的な人物もいると知ったから。
また、訓練兵時代を過ごした同期たちにも仲間意識が生まれているのだろう。
今までの常識や「始祖奪還計画」に疑問を持ち始めている印象。
「私はただ、そうやって流されるような弱いやつでも、人間と思われたいだけ」
アニはエルディア人としてマーレで差別を受けてきた。戦士になって祖国で名誉マーレ人になることがアニの夢。
アニがアルミンを見て驚いたのは、今回はエレンと調査兵団幹部の護送のはずで、アルミンはここにいるはずがないから。
あと、アニはアルミンがちょっと好きなので、多分会えて嬉しい。
アルミンは荷運び人の格好をしてストヘス区に潜入。
目的はエレンを逃すこと。
調査兵団の一部が今回の措置に反抗したという体にしてエレンをかくまい、その間に(エレン脅威論者の)審議会勢力をひっくり返す材料を揃える。
……これらは嘘。
調査兵団はこの時点でアニが「女型の巨人」だと断定しており、既に捕獲作戦を実行している。
警戒心の強いアニはなかなか信用しない。
そこでアルミンは更なる説得に出る。
「このままじゃエレンは殺される」
壁外調査時にアルミンが「女型の巨人」に対し「死に急ぎ野郎の仇を取って」と言ったら、「女型の巨人」は驚いて動きを止めた。
つまりアニはエレンに死なれたら困る。
それを知っているのでアルミンは勝負に出た。
「アニがこの話に乗ってくれなかったら、アニは僕にとって悪い人になるね」
なぜアニはこの言葉で協力を決意したのか?
・悪魔と呼ばれたエルディア人に「悪い人」と呼ばれカチンときた。
・好意のあるアルミンに「悪い人」と呼ばれて少し悲しかった。
・エレンやマルロのようなエルディア人に触れて、気持ちが変わりつつあった。
アニがはめた指輪は巨人化に必要な自傷行為をするための道具。
アニがここでこの指輪をはめたということは、アルミンを心からは信用していないということ。
保険のために指輪をはめ、いつでも「女型の巨人」になれるよう準備しておく。
戦士としての抜かりなさと、女の子として好きな人を信じたいという心が揺れ動いている。
エレンはぶつぶつと独り言を言う。
ジャンが影武者になって王都に送還されていることなど。
実はこれらはエレンの保護も含めて全て嘘で、本当の作戦は「女型の巨人」の本体であるアニの拘束。
ミカサがエレンを嗜めたのは恐らくボロを出さないよう注意した。
マーレで高度な軍事教育を受けているアニには、やはり疑わしい点が散見される。
しかしアルミンの機転でなんとか納得させた(恐らく納得したふりだと思うが)。
アニが「納得したよ」と言った後、意味ありげに目を合わせるエレンとミカサ。
一度は納得したふりをしたアニだが、エレン達が地下道に入っていくと立ち止まって拒否。
ここで完全に怪しいと判断した。
なぜか?
地下で巨人化したら建物に埋もれてしばらく身動きが取れなくなるから。
「アニ、なんでマルコの立体機動装置を持っていたの?」
第16話参照。
アニ「でも一ヶ月前にそう思っていたんなら、なんでその時に行動しなかったの」
泳がされていたことにイラついている。
アルミン「アニだってあの時僕を殺さなかったから、今こんなことになってるんじゃないか」
「女型の巨人」がアルミンの顔を確認して去っていったこと。
第17話参照。
戦士とはマーレの戦士という意味。
追い詰められて「始祖奪還計画」が頓挫してしまうことをアニは嘆いている。
悲しいのは仲間(エレンたち)に疑われたからではなく、計画が失敗して名誉マーレ人になれなさそうだから。
この台詞はちょっとわかり辛いが、恐らくいい人=「女型の巨人」ということだろう。
私があんたの探していた「女型の巨人」(いい人)でよかったね、当たりだよ、ということ。
アニの賭け=どうしようもなくなったとき、自傷して「女型の巨人」になる。
アニはそのために指輪をはめておいた。